中断が多くても無理なく続ける 多忙な人のための読書再開術
多忙な日々における読書の中断という現実
多忙な毎日を送る中で、読書時間を確保することは容易ではありません。せっかく読み始めたのに、仕事の連絡や家事、育児による呼びかけなどで、あっという間に中断されてしまう経験は、多くの方がお持ちではないでしょう。
中断が頻繁に起こると、集中力が途切れるだけでなく、「どこまで読んだか忘れてしまった」「話の流れが分からなくなった」といった状況に陥りがちです。これが積み重なると、再び本を開くこと自体が億劫になり、いつの間にか積読が増えてしまうという悪循環に繋がりかねません。
しかし、多忙な中でも読書を楽しむことは十分に可能です。中断されることを前提とした読み方の工夫や、読書再開のハードルを下げるいくつかの方法を取り入れることで、無理なく読書を続けることができます。
ここでは、中断が多い環境でも読書を無理なく続けるための具体的なヒントをご紹介します。
中断前提の読書戦略を立てる
読書が中断されるのは、多忙な生活においては避けられないことと考えましょう。大切なのは、中断を恐れるのではなく、中断されてもスムーズに再開できるよう、あらかじめ準備をしておくことです。
一つ目の戦略は、「区切りの良いところで中断する意識を持つ」ことです。章の終わりや、一つのまとまった話題が終わる箇所など、内容に区切りがある場所で読むのをやめるように意識します。これにより、次に読む際に内容を思い出しやすくなります。難しい場合は、数ページごと、あるいはたとえ数行でも、内容が一段落する箇所で一旦止まる癖をつけるのも有効です。
二つ目の戦略は、「読んだ箇所と内容の目印をつける」ことです。読み終わったページに付箋を貼る、重要な箇所や後で見返したい箇所に鉛筆で軽く線を引く、といった物理的な目印は非常に有効です。電子書籍の場合は、ブックマーク機能やハイライト機能を積極的に活用できます。
さらに、「簡単なメモを残す習慣をつける」ことも効果的です。読み終えた章や区切りの良い箇所で、数十字程度で良いので、その内容や感想、次に読もうと思ったことなどをスマートフォンのメモ機能やノートに記録します。これにより、再開時に内容を素早く把握し、読書のペースを取り戻しやすくなります。
読書再開のハードルを下げる工夫
中断された後、再び本を開くことに億劫さを感じないように、再開のハードルを意図的に下げることが重要です。
まず、「再開時は直前の数ページを軽く見返す」ことを習慣にしましょう。内容を全て思い出す必要はありません。文字を追うだけでも、脳は中断前の情報にアクセスしやすくなります。付箋やハイライトをつけた箇所を中心に流し読みするだけでも、十分な効果が期待できます。
もし手元に電子書籍端末やスマートフォンがある場合は、「音声読み上げ機能やオーディオブックで耳慣らしをする」という方法もあります。中断した箇所から少しだけ音声で聴いてみることで、視覚だけでなく聴覚からも情報が入り、スムーズに読書の世界に入りやすくなります。特に、物語性の高い書籍や専門書でない場合は、有効な手段となり得ます。
また、「読む場所や時間帯を工夫する」ことも、再開のしやすさに繋がります。例えば、リビングの特定の椅子、寝室のベッドサイドなど、読書専用とまではいかなくとも、「ここで本を読むことが多い」という場所を決めておくと、その場所に行くだけで自然と読書モードに入りやすくなります。また、朝の静かな時間帯や、夜寝る前など、比較的邪魔が入りにくい時間帯を選んで読書を始めることも、中断のリスクを減らし、スムーズな再開に繋がります。
完璧を目指さず、気楽に構える
読書を無理なく続ける上で大切なのは、「完璧に読もう」「一字一句逃さず理解しよう」と考えすぎないことです。多忙な中で読書をするのですから、中断はつきものですし、内容を全て完璧に把握することは難しい場合もあります。
「拾い読みでも、斜め読みでも良い」と割り切ることも時には必要です。特に情報収集目的のビジネス書などは、全てを精読する必要はありません。目次や見出しを活用し、自分に必要な情報がありそうな箇所だけを重点的に読む、あるいは、中断から再開する際に、前の部分を斜め読みして大意を掴む、といった柔軟な姿勢が、読書を継続する力になります。
また、「短時間でも読書できた自分を評価する」ことも大切です。例えば、一日にたった5分でも、中断の間に1ページでも読むことができたら、「今日はここまで読めた」と肯定的に捉えましょう。「これだけしか読めなかった」と否定的に捉えるのではなく、小さな達成感を積み重ねることが、次へと繋がるモチベーションとなります。
疲れている時や気分が乗らない時は、無理に難しい本を読もうとせず、エッセイや写真集、あるいは以前読んだお気に入りの本など、「リフレッシュできる内容の本を選ぶ」ことも有効です。読書によって心身を休めることが、また次に集中して読むためのエネルギーとなります。
まとめ
多忙な日々では、読書が中断されることは避けられない現実です。しかし、それを悲観する必要はありません。中断されることを前提とした戦略を立て、読書再開のハードルを下げるためのいくつかの工夫を取り入れることで、無理なく読書を続けることは十分に可能です。
区切りの良い場所で止まる意識を持つ、目印やメモを活用する、再開時は軽く見返す、音声ツールも活用する、読む場所や時間を工夫するといった具体的な方法を、ご自身のライフスタイルに合わせて試してみてください。そして、完璧を目指さず、読書できた時間を肯定的に捉える姿勢が、読書を継続する上で非常に重要となります。
中断を恐れず、気楽な気持ちで本と向き合い、多忙な中でも無理なく読書を楽しんでいただければ幸いです。