多忙さんのための読書術

無理なく続く 多忙な人のための読書計画術

多忙な日々を送る中で、「本を読みたい」という気持ちがあっても、なかなか実行に移せない、あるいは計画を立てても途中で挫折してしまうという経験はないでしょうか。時間は限られており、仕事や家事、育児に追われる中で、読書のためのまとまった時間を確保するのは容易ではありません。計画を立てても、予期せぬ用事が入ったり、疲れ果てて読書どころではなくなったりと、思い通りに進まないことが多々あるかと存じます。

しかし、読書は知識を得たり、視野を広げたり、心をリフレッシュしたりするための貴重な時間です。多忙だからこそ、無理なく読書を続けるための「計画」が重要になります。ここでいう計画は、厳密なスケジュールではなく、あくまで読書を生活の一部に自然に溶け込ませるための柔軟なガイドラインです。

このコラムでは、多忙な方でも挫折することなく、無理なく読書を続けるための読書計画の立て方と、そのための具体的なヒントをご紹介します。

なぜ多忙な人に「読書計画」が有効なのか

「計画」と聞くと、さらに負担が増えるように感じるかもしれません。しかし、多忙な人にとっての読書計画は、以下のようなメリットをもたらします。

• 読書へのハードルを下げる: 「何をいつ読むか」があらかじめ決まっていることで、いざ時間ができた時に迷うことなく読書に取りかかれます。
• 達成感を得やすい: 小さな目標を設定し、それをクリアしていくことで、「読めている」という実感を得られ、モチベーション維持につながります。
• 時間管理の意識が高まる: 読書時間を意識的に確保しようとすることで、日常の時間の使い方を見直すきっかけになります。
• 積読の解消につながる: 読みたい本リストから計画的に選ぶことで、本が積まれたままになるのを防ぎます。

計画は、読書を義務にするためではなく、無理なく楽しみながら続けるためのサポートツールだと捉えてください。

多忙な人のための無理のない読書計画の立て方

ここでは、現実的で挫折しにくい読書計画のステップをご紹介します。

1. 現状を把握する まず、ご自身の普段の生活の中で、どのくらいの時間が読書に充てられそうかを見積もります。通勤時間、昼休み、家事の合間、就寝前など、意識すれば生まれる「スキマ時間」や、比較的落ち着ける時間帯を洗い出してみましょう。完璧な時間を確保しようとせず、「1日合計10分でも良い」「週に30分確保できれば十分」というように、現実的な視点で行うことが大切です。 また、読みたい本のリストアップも行います。気になっている本、読まなければならない本などを書き出してみましょう。

2. 無理のない目標設定をする 「月に〇冊読む」といった具体的な目標も良いですが、最初はもっと緩やかな目標から始めるのがおすすめです。例えば、「週に1回は本を開く」「1日10分は読む時間を作る」「寝る前に2ページだけ読む」といったものです。量が少なく感じられても構いません。大切なのは、「無理なく続けられること」です。目標は、後からいつでも修正可能です。

3. 時間の使い方を具体的に計画する ステップ1で洗い出した時間を使って、読書時間を組み込みます。例えば、

   • 朝食前の10分間
   • 通勤電車の中（移動時間が長い場合）
   • 昼食後の休憩時間5分
   • 子どもが寝た後の15分
   • 入浴中の数分（防水ケースなどを活用） このように、特定の時間や行動とセットで読書時間を設定すると、習慣化しやすくなります。「〇〇したら本を読む」といったルールを決めるのも効果的です。特定の曜日や時間帯を「読書タイム」として固定するのも良いでしょう。

4. 「読む本」も計画に組み込む（オプション） 読みたい本リストの中から、「来週はこの本を少し読んでみよう」「今月中にこの章まで進めたい」というように、読む本や進捗目標を計画に加えると、より具体的に取り組みやすくなります。ただし、気分や状況に合わせて読む本を変えられるよう、いくつかの候補をリストアップしておくと、柔軟に対応できます。

計画を挫折させないための工夫

計画を立てても、予期せぬ出来事や体調によって実行できない日もあるものです。そんな時でも挫折せず、無理なく続けるための工夫をご紹介します。

• 完璧を目指さない: 計画通りに進まなくても落ち込む必要はありません。読めなかった日があっても、「また明日読めば良い」と割り切ることが大切です。「今日は疲れているから、見出しだけ読もう」「短いコラム記事だけ読もう」など、臨機応変に対応しましょう。
• 計画は柔軟に見直す: 計画は一度立てたら終わりではありません。実際に取り組んでみて、「この時間帯は難しいな」「思ったより時間が取れないな」と感じたら、遠慮なく計画を修正してください。ご自身の生活スタイルや状況に合わせて、常に最適化していくことが無理なく続ける秘訣です。
• 複数の選択肢を用意する: 紙の本だけでなく、電子書籍やオーディオブックなど、状況に合わせて読む形式を選べるようにしておくと、読書の機会が増えます。例えば、移動中はオーディオブック、自宅では紙の本、スキマ時間にはスマホで電子書籍、といった使い分けです。
• 記録をつけて「見える化」する: 読んだページ数や時間、本のタイトルなどを簡単なメモや読書管理アプリに記録してみましょう。どれだけ読めているかを確認することで、達成感を得られ、モチベーション維持につながります。記録は詳細である必要はありません。「今日は10分読めた」「〇〇という本を読んだ」程度で十分です。
• 「読書のご褒美」を設定する: 短期的な目標（例：「この章を読み終えたら〇〇する」）や長期的な目標（例：「今月計画通りに読めたら、少し良いコーヒーを買う」）を設定し、達成した時に自分にご褒美を与えるのも効果的です。

まとめ

多忙な毎日でも読書を無理なく続けるためには、「読書計画」が有効なツールとなります。ここでご紹介した計画は、厳格なものではなく、ご自身の生活スタイルや状況に合わせて柔軟に調整できるものです。完璧を目指すのではなく、「これなら無理なくできそう」と思える小さなステップから始めてみてください。

日々の生活の中に、読書という豊かな時間を取り入れることで、心にゆとりが生まれ、新たな発見やリフレッシュにつながるはずです。焦らず、ご自身のペースで読書計画を立て、ぜひ読書のある暮らしを楽しんでください。